久々に酷い作りのメガネを見ました。 その弐(ツーポイント編)

最近ぼちぼちツーポイント(縁無しフレーム)が売れています。

メガネ一式での販売は勿論、持ち込み枠でのレンズ交換なども多く受けているようで、加工依頼分として筆者の手元に届きます。

この持ち込みフレームのレンズ交換ですが、作る側としては毎回悩みながら作っています。

何故かというと、、、

こんな感じになってるメガネがあったりするからです。

(ネジワッシャーなど、消耗部品が曲がっていたりすると正確な形が分からないので、先にある程度の型直しと分解整備をしてあります。)

見て分かると思いますが、明らかにおかしく感じますよね。

今回のメガネは遠近両用レンズが入っていたので、分かり易く隠しマークを使って水平線を引いてみました。

水平線がかなり傾いてるのが分かると思います。

この水平線が綺麗に水平になっていると、遠近両用として正常に機能していると言えます。

 

この水平がズレているので最も軽度なのが型崩れしている場合。

型崩れが原因の時は、水平になるように型直しすることで元に戻ります。

フレームが変形してしまっている型崩れ等なら、破損のリスクがありますが型直しすればお使い頂けます。

この場合の難易度=破損せずにフレームが直るかどうかなので、再製作上の難易度は低めです。

 

※ 状態の悪いフレームのなどの製作、修正時にはフレームが破損する恐れがございます。

その際の責任は負いかねますので、メーカー修理費などが発生した場合はお客様ご負担となることをご了承頂いてから、製作をお受けしております。

 

中度~重度なのが穴位置が悪くてズレてる場合と、レンズを削る段階でズレてる場合。

基本的にレンズには左右対称の穴位置を空けますが、これが0.2mmほどズレると水平がずれてきます。

0.5mm以内のズレなら加工中の穴の微調整で直りますが、1.0mm以上失敗していると穴の調整では難しくなってきます。

1.0mm以上の穴位置修正はどこかに絶対無理が出てくるので、筆者の場合はここをミスったら即レンズを再注文します。

このズレで水平が合わなくなってくると、水平を合わせる為にフレームを曲げたりして他の穴位置をズラしたりして調整してしまう場合があります。

この場合にレンズ水平はあっているがフレームが若干型崩れして見えるというパターンが発生します。

このような状態でも、とりあえず基本となるレンズの水平は合わせて作られているので、見え方に大きな不具合が出にくいです。

基本となるレンズさえちゃんと左右対称に同じ形で水平が揃うよう削られていれば、元レンズを基準に正常な状態に作り直すことが出来ます。

再製作難易度も、理想とする基本となった形として作り直せる確立が高いのでそこまで高くありません。

というか持ち込みフレームでは結構な確率で当たる為、割と気軽に請け負っております。

 

いよいよ今回のパターンですが、もっとも酷い重度でそもそも左右対称に削られていません。

しかもそのレンズで無理やり作っている為、全てがおかしくなっています。

加工中に、何らかのトラブルで水平はズレることはあります。

このズレは上がって来た段階で見てすぐ分かるので、まともな所だと即再注を掛けて作り直します。

最悪でも、穴位置で何とかしようとする努力の跡みたいな物があったりするものですが、それも見受けられません。

フレームがあんまり型崩れしていない所を見ても、フレームで水平を直そうとした痕跡も無いという事です。

ここまで酷いメガネは、久々を通り越して初めて見ました。

これだとレンズの度数が合っていても、ちゃんとした遠近両用の見え方になりません。

 

このメガネ再製作時に問題になるのが、正確な基準になる元の型板が無いという事です。

元レンズから狂っているので、このフレーム本来の形を割り出す基準が無く、正解の形が分かりません。

なので元となる型板から作っていきます。

 

※ 両方ともレンズが粉々に割れていたり、そもそもレンズが無くフレームのみの持ち込みなどは作成上のリスクが高い為、基本お断りさせて頂いております。

(メーカー付属の加工用型板が付いていたり、当店で作ったことがあるフレームは除く)

 

ぱっと見、元の形はこっちのほうが近いだろうと思われる右レンズ(写真だと左側)を基準に型を考えます。

お客様の希望で、元のレンズより上下をもうちょっと延ばして欲しいとのことなので、それを踏まえて作ります。

型を作ったら、一度ダミーレンズで試作してみて、ちゃんと出来るか確認します。

2ヶ所の穴明けだけでなく、レンズの横に更に2ヶ所の刻みを入れる今回のフレームのようなタイプは、ツーポイントの中では作りにくい部類になります。

刻みを入れるのが厄介で、刻みは修正が効かない上に、ここがズレると見栄えやレンズの水平など全部狂うので慎重に合わせます。

左右対称の穴位置を空け終わったら、レンズの水平を基準にフレームの細かい型崩れなども直しつつ微調整しておきます。

テンプル幅や傾斜、水平ラインの位置や全体のバランスなどを確認して作ります。

水平がズレると、乱視の軸や遠近の測定データ全てが狂ってしまう為、水平線が合っているのが絶対条件です。

何度を見直しながら、しつこいくらい型崩れなどを微調整していきます。

試作が完了したメガネは一度お客様に確認して頂き、さらにフィッティングをしてアイポイントを取ります。

ここまでしてから初めて遠近のレンズ注文に移れます。

最近の高価格遠近両用レンズは、フレームの形状なども測定してから注文するようになっていますので、フレームがしっかり出来ていないと全ておかしくなってしまうのです。

一週間後、注文していたレンズが届いたら本番の製作に入ります。

今回は型興し&フレームの型直しを兼ねて一回、微調整後の最終確認に一回の計2回ほど試作しました。

ここまでの下準備が大変なだけで、実は本番を作るのは試作で練習している分、普段より気楽に作ることが出来たりします。

さくっと作って完成です。

型崩れしていたり、片方のレンズが割れていてもフレームを使えることが多々あります。

愛着があるフレームを使ってレンズ交換がしたいなどがあれば、一度ご相談下さい。

皆様のご来店をお待ちしております。

鴨居店 ヒキン

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