陽射しが眩しい時、普段メガネをお使いの方は、サングラスを使う際の選択肢が限られてしまいます。
度付のサングラスを作るにしても、使用頻度に対してコストが掛かる為に、中々手を出しにくいというお話しも聞きます。
そんな時は、メガネとしても使える、紫外線に反応して自動で着色する便利な「調光レンズ」がオススメです。
外ではサングラス(もちろん紫外線カット)、室内では普通のメガネ、と一本で二役をこなします。
遠く専用・遠近両用、どちらでも作成可能ですが、製品によって対応可能範囲が変わります。
また、サンプルレンズをご用意しておりますので、気になる方は、是非店頭でご覧下さい。
調光レンズの着色方法
メガネのレンズには、大きく分けてガラスレンズとプラスチックレンズの2つがあり、それぞれ着色(濃度の変化)する仕組みが異なります。
ガラスレンズ
素材にハロゲン化銀を含ませて紫外線に反応する事で着色します。
ガラスを製造する際に、酸化銀とハロゲン化アルカリ(アルカリ金属のハロゲン化物)を加えます。
均一にハロゲン化銀が出来る為、レンズの厚みによって色の濃さに差が生じます。
特に度の強い近視用レンズや遠視用レンズでは、中心部と周辺部で厚さが異なり、色の濃さに差が生じ事があります。
着色の速度があまり速く無く、着色するまでには数分以上かかります。
また、褪色してもとの色になるまでにも数分ほどかかります。
プラスチックレンズ
プラスチックレンズの表面に調光層(フォトクロミックコート)を施し、その感光物質が、紫外線に反応する事によって着色します。
ガラスレンズで起きるような、度数によるレンズの中心部と周辺部で色の濃度差は生じませんが、
表面がデリケートなので、レンズの表面に深い傷がついたり、コーティングがはがれたりすると、その部分が発色しなくなります。
数年に一度、着色性能・褪色性能が改良されたレンズは発売されており、現在は条件によりますが数十秒で着色が完了する場合もあります。
プラスチックレンズ褪色実験(ブラウン):動画
実験結果
動画開始00:43秒~5:43秒後:実質5分くらい経つと多少色が残ってはいるものの気にならないレベルに落ち着きました。
動画開始8:43秒後:左右レンズが同じ濃さになりました。
製品紹介
ガラス調光レンズについては、近年新しい製品が発売されておりません。
また、現在メガネレンズシェアの9割以上がプラスチックレンズとなっている為、
今回は、プラスチックレンズの製品をご紹介します。
当社ではHOYA(株)と、東海光学(株)の2社を主に取り扱っております。
通常調光タイプ
基本の2色:ブラウンとグレー
HOYA(株)のみグリーンがあります
眼病対策レンズ+通常調光=ルティーナフォト(東海光学(株)のみ)
黄斑部の病気から眼を守るルティーナと通常調光レンズを合わせた一歩先を行くサングラスレンズ。
カラーは、ブラウンとグレーの2色です。
詳しくはこちらのブログをご覧下さい。
↓
酸化ストレスから眼を守る!網膜(黄斑部)を保護する眼病対策レンズ「ルティーナ」
https://nakamuramegane.co.jp/?p=100697&preview=true
淡く着色するタイプ:ミスティシリーズ(HOYA(株)のみ)
あまり濃く染まるのも困る!といった方へ。
紫外線が当たっても、あまり濃く染まらないシリーズもあります。(色も女性向けに対応しています)
上から:パープル・ロゼ・ブルー・アッシュグレーの4色。
ブルーやパープルなど薄く着色するからこそ楽しめるカラー展開です。
近年のマスク生活によって、サングラス市場にも変化が起き、カラー濃度が薄いものを選ぶ方が増えているのだとか。
マスクによってお顔の半分が隠れているので、「濃度の濃いサングラスだと印象が強すぎる」というのが理由のようです。
※ミスティシリーズは、通常の調光レンズよりも納期がかかりますので、お使いになりたい日が決まっている方は余裕を持ってご注文下さい。
通常調光タイプ:グレーと、淡く着色する:ミスティアッシュグレーを比較
上がミスティアッシュグレー、下がグレーです。
着色前・・・と言いたい所ですが、外の光でほんのり着色してしまいました。
このレンズに紫外線を当てると…
これでほぼMAXの着色です。上のミスティーシリーズはそんなに濃く着色しません。
着色が薄いので、褪色も早いです。
エクストラアクティブ(東海光学(株)のみ)
後述いたしますが、通常調光タイプと淡く着色するタイプは、どんなに眩しくても紫外線カットされた環境下においては色が変わりません。
そんな不便を解消する、紫外線に加えて、可視光線(人が眩しさや色などを感じる光)でも着色するレンズがあります。
カラーはグレーのみです。
人間の眼に見える光に反応する為、正直に申し上げて「完全に色が抜けて無色になる状態」はご覧いただけません。
お部屋の中でも、照明の光によって若干着色します。
真っ暗な環境であれば無色に戻りますが、その状態を確認しようと証明をつけるとその光に反応して…と言う状態です。
また、通常調光タイプと淡く着色するタイプに比べて、対応レンズ種や、対応度数が限られておりますので、詳しくはスタッフへお問い合わせ下さい。
実際にメガネとして作成すると…
ブラウン(天候:晴れた日)
基本は薄っすらとした色合いなので、紫外線が当たらない環境だと普通のメガネと見分けが尽きません。
しかし、紫外線が当たると...
紫外線量や気温によっても染まり具合は変わりますが、日光が直接当たる状態だとかなり濃い色になります。
グリーン(天候:曇りの日)
薄っすらカラーが入っているのは分かりますが、おそらく濃度10%以下くらいだと思われます。
撮影時、外は雨が降っていたので曇りの日の染まり具合を確認します。
窓側において5分後...
曇りや雨の日でも、昼間は紫外線によって着色します。
大体20~25%くらいの濃度に染まっているよう感じます。
そして紫外線が強く当たった晴れの日の条件を再現すると…
かなり濃く染まります。
グリーンのはずですが、グレイっぽく感じます。
タレックスレンズで言うと、トゥルビューゴルフに近い色合い。
濃度は70%前後くらいでしょうか。
眩しいのに、調光レンズの色が変わりにくい(変わらない)!
実際にご使用の方から、この質問を時々されます。
なぜか?理由はいくつか考えられます。
紫外線カットガラスの内側に居る
自動車の車内や、紫外線カットガラスが施されたテラスなどでは着色しません。
陽射しが真上から来る
レンズに直接紫外線が当たらないと着色しません。
紫外線カットの日傘・帽子を使用している
上記と同様に直接紫外線が当たらないので着色しません。
気温が高すぎる
着色性能が最大限発揮されるのは、紫外線が多く、気温が低い場所。冬のスキー場が最も濃く着色します。
昨今の夏は、調光レンズの想定温度を上回っているため、着色濃度が低下する傾向です。
調光レンズの機能が低下している
ご購入後、数年を経過すると、着色・褪色性能がそれぞれ低下してきます。
レンズメーカーHP
当社では、HOYA(株)と東海光学の2社、調光レンズをお取り扱いしています。
HOYA(株)
https://www.vc.hoya.co.jp/products/suntech/