知っておくとタメになるかも知れない情報を、だらだらと垂れ流す不定期ブログです。
フレーム選びの盲点(耳までの長さ)やメガネが壊れてしまった際にやってはダメな応急処置など、意外と知られていなそうな内容を紹介しています。
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フレーム選びの盲点 テンプル
フレームには、テンプルという腕に当たる部分があります。
このテンプルですが、フレームによって長さが違います。
大抵は、メーカー側でフレームサイズに合わせた男女の平均的な長さで作っています。
しかし、耳の付け位置は人それぞれ個人差があります。
手前に耳が付いている人や、奥に耳が付いている人など様々です。
筆者も、顔幅が広い割りに耳が手前に付いている為、フレームがこんな状態になります。
曲げが長いと何が悪いのかというと、まずケースに入りません。
次に見た目が悪いです。更に長すぎて耳にピッタリ合わせ難く、フィッティングが安定しません。
ついでに、耳の後ろの神経を刺激しやすく不快感が出たりします。
こんなことにならない為に、自分の耳の付け位置をある程度知っておいたほうが良いと思います。
自分の耳に合うフレームを選んでも、なかなか気に入ったものがない!という場合でも、
選択肢を広げる方法があります。それはテンプルカットです。
テンプルは金属に先セルが付いたタイプであれば、カットすることが出来る場合があります。
セルフレームや、テンプルがセル一体型などは基本的にカット出来ません。
どんなのが切れるのかというと・・・
こちらはカットを前提に先セルが作られている為、1cmくらい切れます。
こちらも5mmほど、余裕を持って作られているため、カット出来ます。
こちらはカットを前提に作られていませんが、テンプルが細い為、切った後に押し込めます。
ということで、これもカット可能です。上限が無いので、過去に1.5cmほど切った記憶があります。
こちらは特殊タイプ。
金属をカット出来ませんが、先セルの先端をカットして長さ調整が可能です。
続いて、カット出来ないものを載せてみます。
ピッタリ入ってるタイプで、入り口が太いものだと、カットしても奥に差し込めません。
なので基本的に不可能です。
自分が使ってるセルフレーム。
切りたいけど、切れません。
特殊な長セル。先セルの先端部分の金属が膨らんでいて、差し込めません。
先セル接続部分が特殊で、これ以上差し込めません。
構造上的に、カットしても奥に差し込めません。
一見切れそうですが、先セル内の金属と、テンプル付け根の金属の幅が違いすぎて、
カットしても差し込めません。
カット出来るフレームは、現在主流のメタルフレームの3割程度?かと感じます。
ただ、カット出来る出来ない、するしないの差は結構大きい為、見た目が悪かったり長すぎて安定しない方で
カットが可能な場合はカットすることで改善される場合が多いです。
フレームを選ぶ時に、こういう盲点があると覚えておくと、
より自分に合った、快適なメガネを選び易くなるかと思います。
テンプルカット
テンプルをカットするとどれだけ差が出るか、実際のメガネで紹介していきます。
フレーム:pas a pas 2512 販売分は手前のピンク、新品は奥のグリーン
このパサパ2512は元々かなり小顔な方用に作られてる為、サイズ 47□15 テンプル長 133mm と平均よりかなり小型なフレームなのですが、
販売したお客様に合わせて調整した場合、耳の曲げが2cmは飛び出してしまうので1.5cmほどカットしました。
曲げ部分が飛び出すとどうなるかの実例
下が自分の私用ファクトリーで、上が同型色違いの新品。
これはテンプルカット出来ないので、そのままフィッティングして使っています。
もちろん、普通のケースになど入りませんし、テンプル部分が邪魔でフィッティングが難しくなってしまっています。
1.5cmカットするとどうなっているか、並べて比較。
上から見ると一目瞭然。
先セルの付け根の位置がカットした分だけ奥に入ってます。
カットせずに曲げると、まず一般のケースにも入らないですし耳の後ろが長すぎて掛け心地も悪くなります。
テンプルカットが出来るフレームで、必要性があるものは出来るだけカットしてからの調整をオススメします。
切れないテンプルには「耳ピタ」が便利
まずはこちらをご覧下さい。
これらのフレームには共通点があります。
共通点とは、テンプルがそのまま金属手になってる点です。
最近のクラシックメガネとの相性も抜群なので、よく見かける定番の形になってきました。
メリットは見た目スッキリ!セルフレームとのコンビネーションで似合う!!細身でバネ性があり、掛け心地が良い!!!
まるで良い事尽くめのようですが、金属が細い上に、金属が直接肌に触れる為に汗や油の影響をモロに受けます。
先セルなどのストッパーが無かったり極端に細い場合は、肌との摩擦を使った掛け具合の調整が難しくなります。
簡単に言うとメガネが下がりやすくなってしまうということです。
フィッティング調整だけでは難しい場合に、肌の摩擦を増やせるアイテムもあります。
その名も耳ピタ。
通常のメガネにも使用出来る耳ピタチューブですが、金属手フレームとの相性が抜群ですのでオススメしています。
当店でお買い上げの方のみ初回無料となっておりますが、持ち込みの場合は税込1080円頂いております。
筆者のメガネにはこの耳ピタを付けていますが、1年ほど使用して少し傷んできたので、この機会に付け直してみます。
Sチューブを数センチ切って、シリコンゴムを膨らませる特殊な薬剤に投入します。
そのまま薬剤が浸透するまで、5分ほど待ちます。
数分後はこんな感じ。
膨らんで倍以上になった上、柔らかく伸びるようになります。
これをフレームのテンプルに差し込んでいきます。
穴径の2~3倍に広がるので、結構グイグイ入っていきます。
これを両方にやって、薬剤が気化するまで数分待てば完成です。
元々、付ける金属が細いのでシリコンゴムがほぼ目立たないのでどなたでもオススメ出来ます。
また、テンプルの先端が異常に膨らんでいるなど特殊な形の除き、大体のフレームに付けれるのも良いです。
様々なクリングスの形状
メガネの掛け心地を左右する部分として、鼻当てがあります。
部品個々に名称はありますが、一般的に全部含めてクリングスという表現することも多いです。
このクリングス部分を選び間違えたり、フィッティングが十分に出来ていないと様々な不具合が出てきます。
大部分のメタルフレームに付いている、代表的な形はこちらのスネーククリングス。
メガネ関係の方でも、”クリングス”と言ったらコレを連想するのでは無いでしょうか。
調整が容易で、高さを変えたり幅を変えたりと、ほぼ全ての方に合わせることが可能です。
溶接の仕方で名称が違いますが、メタルフレームの6割くらいは
この形状を採用していると言えるほど多く見掛けます。
次はこちらのU字クリングス。
上記が6割だとすると、こちらは残り2割くらいが採用してる形と言っていいと思います。
スネーク型に比べ、見た目はスッキリしています。
国内フレームではあまり見かけませんが、海外のメーカーでは割と多い形です。
海外で多い理由が分かるくらい、鼻が高い方にはピッタリ合うのでオススメです。
しかし、アジア系の方は鼻立ちの関係で合わせるのが難しい場合もあり、
U字のメリットがデメリットになる場合も多いので注意が必要です。
スネークとU時を合わせたようなU時スネーク型なんかもあるので、いろいろ見てみると面白いです。
金属部分がそのまま鼻当てになってる、一山タイプなんかも人気があります。
※厳密にクリングスと言うか微妙ですが、ここではクリングスとして紹介します。
見ての通り、鼻パットなどが無く金属部分がそのまま鼻あてになっています。
メリットはクリングスが潰れて掛け心地が悪くなるなどが少ないという点ですが、デメリットとしてその人に形状が合ってないとずっと掛け心地が悪いという裏返し仕様です。
直接金属が肌に触れているので、金属アレルギーの方は注意が必要になります。
ピッタリ収まる方にとっては、物凄く好評なので評価が分かれる形状ですね。
クリングスも、最初は合っていてもメガネを掛けている間に曲がったり広がったりしていく為、定期的なメンテナンスや調整が必要です。
メガネの鼻パッド(鼻当て)は交換出来る
可動式の鼻パッドは、基本的に交換が可能出来ます。
(お肌に直接触れるので、早い方だと半年~1年くらいで傷んできます。)
一言で鼻パッドと言っても、色々な留め方があります。こちらは最も一般的なネジ留め式ローデンストック社は、ネジを留める箱の形状が違います。こちらは、ネジを使わないハメ込みタイプこちらもハメ込みタイプですが、パッドを押さえる金属の太さが違います。レイバンやポールスミスなどはネジではなく金具を抱き込むようにして留めています。
ご紹介した以外にも様々な留め方があります。
基本的に交換を承っているのですが、一部形状では弊社で承れない事がございます。
弊社では交換を承れないもの
①取扱いが無くパーツが手に入らない
②メーカーでパーツ製造が終了している
③特殊形状である
など
また、数日お時間がかかるものがございます。
①パーツの在庫が無くメーカーから取り寄せる
②取り付けが特殊
など
また、汎用パッド以外はパーツ代は有料(一部メーカーを除く)です。
メガネの調整に必要な工具達
メガネの調整で、もっとも頼りにするものは「手」です。
微妙な力加減が出来、素材に傷をつけない柔らかさを持ち、感触から素材の状態を確認することで安全な調整を可能にします。
調整の理想は、道具を使わず「手」のみで直すことだと思っていますが、現実問題、「手」だけでは全ての箇所を調整することが出来ません。
その時に必要になるのが、手の延長となる工具達です。
大工や、整備士なんかと同じで、メガネにも様々な状況で使う道具が違います。
写真に収まり切らない物がまだ有りますが、日常的に20種類程度は使う頻度が高いです。
最低、数種類だけの工具でもメガネの調整は出来ますが、臨機応変に細やかな調整をするには、この程度の工具は必ず必要になります。
中でも、一番使う工具はコレです。
通称:(ヤットコ)先細
社長のお友達のメガネ屋さんに頂いたもので、とても使い勝手か良いです。
似たような形状の工具を使っても、コレを使うときほど細かな調整が出来ない為、
他の店舗にHELPで行く時や、出張調整の時などには欠かせません。
メガネのフィッティングなどは店員さんの技術に左右されますが、技術を100%発揮する為には、こういった工具が有ってこそです。
逆に、技術が未熟であれば、工具がいっぱいあっても使いこなせません。
お客様に御満足頂けるフィッティングが出来るよう、道具を手入れし、技術を磨いて日々精進しています。
メガネのネジが急に固くなったら注意すること
汗ばむ季節になると「メガネの腕のネジが急に固くなった」と来店されるお客様が増えます。(メガネの腕(テンプル)を留めている部分「丁番」部分が動かなくor動きにくくなります。)固くなる原因は「湿気と汗」
メガネの腕を開閉する際に、丁番パーツの隙間に「塵や埃」が入り込みます。
その「塵・埃」が「湿気や汗」で、丁番内部に留まり、パーツの隙間を埋めてしまい、スムーズに動かなくなります。
ご自分で無理に動かすと、ネジが丁番内部で折れて「福井県の修理工場出し」という事態になることも。
※その場合、2~3週間お預かり+修理代金が掛かります。
動かなくなったら、無理に開閉せず一度当社へお持ちください。
自店で修理が可能な状態か、を拝見します。(丁番ネジを外して、緩衝用のワッシャーを取り外します。)
自店で対応可能な場合、ネジを外して超音波洗浄を行い、塵・埃を除去します。
一部特殊構造の丁番は、対応が出来ない場合や、メガネを数日お預かりする場合もございます。
縁の下の力持ち ワッシャー
この小さな部品は、「ワッシャー」と言います。
メガネフレームのフロントとテンプルをつなぐ所に使う部品です。
テンプルが非常に硬くなっていたり、動きがスムーズで無くなっている場合は、このワッシャーが錆びて来ていることが多いです。
逆にネジをいくら締めても緩い場合は、ワッシャーが消耗して薄くなったり無くなったりしていることが大半です。
ワッシャーが磨耗していると新しいワッシャーに交換しないことにはゆるみが解消しません。
一度ネジが外れてご自身で取り付けた後にゆるくなったという方がいれば、このワッシャーが紛失してしまっている可能性があります。
一般的に目で見てわかるものでもなく、ネジを外して分解しないと消耗しているか否かもわからないと思います。
ワッシャーは厚みやサイズ、素材など何種類もあります。
メガネ用のワッシャーは恐らく一般には流通していないので、調子が悪くなった際は分解清掃へお持ち下さい。
当店では基本的な消耗部品のオーバーホールは無料ですが、万全を期す為に一日預かりを推奨しております。
有料になるパーツ(メーカー純正パーツ類、先セル、鼻パット、バネ丁番)ect
メガネが壊れても、接着剤はNG
以前、接着剤で有名なセメダインの公式Twitterで接着剤をメガネに使わないでと注意喚起していることが話題になっていました。
セメダインさん (@cemedinecoltd) / Twitter
接着剤メーカーからもお願いです。メガネが壊れても接着剤は使わないでください。
メガネは接着剤では直せません。
接着面積が小さすぎて簡単に剥がれます。そして応急処置的に接着剤を使ったために、メガネ屋さんが修理できなくなる場合もあります。
何も手を加えず、メガネ屋さんにお持ちください🙇♀️ https://t.co/szO4MIIWCz— セメダイン【公式】 (@cemedinecoltd) December 23, 2019
接着剤、厄介です。
レンズに付いたらレンズがダメになり、フレームの修理が出来てもレンズが使えなくなります。
フレームに付くと、剥がせないことで修理することが出来なくなったり、素材が傷んだりします。
メガネが壊れてしまった際は、「困った時の接着剤」ではなく、テープなどで応急処置をしてメガネ屋にご相談下さい。
そして意外と多いのが、実はお店で直せる状態を接着剤で不可能にするケースです。
よくあるのが、「ネジ抜けやネジ折れを接着剤で固める」こと。
ネジが錆びて折れたり緩んで抜けたりしてレンズ取れたので、接着剤でつけた。
鼻パッドが取れたので、とりあえず接着剤で止めた。
どちらも非常によくあるケースですが、ネジが取れていれば新しいネジをつければ止まります。
仮に錆びて折れていても、錆を焼き飛ばしたりして抜くことも可能だったりします。
修理が必要になった場合でも、ダメージを最小に抑える為に接着剤はお控え下さい。
メガネを痛めずに除菌したい
抗ウイルス対策として欠かせないのがマスク着用、手指の消毒、そして、除菌。
衣服や身に付ける品にも微量ながらウイルスが付着している可能性があるそうです。
春先の第一波の際には、「眼からウイルスが侵入した」なんて報道もありました。
と、いう事は、メガネにもウイルスがたくさん付いている可能性があるということですよね。
マスクに近い位置にある、メガネの除菌をお忘れなく。
「除菌」と言えばアルコール性の液体が一般的です。
メガネにも直接吹き付けたい所・・・ですが、メガネは見た目以上にデリケート。
レンズと金属部分以外の主にプラスチック製のパーツは、アルコール類で変色・変質します。
一回痛んでしまうと元に戻すことは出来ません・・・。
ではどうすれば…?
台所用の中性洗剤を希釈した液体(ボール1杯につき、洗剤2、3滴)に付けていただくか、
メガネ専用の除菌効果がある洗浄液をお使い下さい。当社のオススメはこちら。
「メガネのシャンプー」詰め替え用もあります。
香りが苦手な方には無香料もあります。